次世代の会の企画・運営し、若年層向けのインボイス制度の勉強会を開催しました。
川崎町議会議員の的場要さん(ホームページ・ブログ)を講師としてお招きし、下記の要領で勉強会を進行しました。
勉強会の流れ
1.自分の年収と働き方を把握しよう
2.YouTubeの動画で要点をつかもう
3.課税事業者と免税事業者に分かれて意見交換
4.課税事業者と免税事業者が一緒になって意見交換
まとめをご覧いただく上での注意点
※1 税制改正発表前に実施された学習会のため、最新内容が反映されたいないことにご留意ください。
※2 参加者それぞれの主観的意見です
免税事業者 講師への質疑応答
1,000万円を超えなくても、800~900万円の人は1,000万円に到達する可能性があるので課税事業者になってもいいと思うが、それ以下の金額で年収が増えるが見込みのない人は焦って課税事業者になる必要はない。移行期間が令和5年10月から6年間あるので、取引先と相談して自分にとって都合のいい選択をして欲しい。
今後年収を増やせる期待がある、仕事の幅が広がる期待のある人は、課税事業者になる方向で考えるのはあり。
番号を取ったが、仕事がどうしても増えない時など。
インボイス制度が始まって最初の3年間は、課税→免税の取引でも消費税の8割は控除される。
移行期間は6年間あるので、その期間で取引先と相談してほしい。
制度上、売上1,000万円は免税でいい、収入にしていいということで始まった。取りこぼしになっている消費税を納めてもらえれば国の運営の足しになるという考えからインボイス制度が始まった。
慌てて課税事業者になる必要はない。自分の会社にとって、もっとも都合の良いタイミングで課税事業者になればよい。
根拠
・職人が減少、一人が行う仕事の量が増えている現状
・急激に来年の10月から変わるかと言われれば、変わらないと思う。
・インボイス制度に反発している免税事業者が多く、新たな減免措置が設けられる
どういう相手と取引をしているかによって対応が変わってくる。
もっと稼ぎたい、自由に働きたいなどの理由で独立すると思うので、一人親方が減るかどうかはわからない。
収入が多少減っても会社員の方がいいという人も出てくるのではないか。
課税事業者同士の意見交換
B氏 何年何十年も付き合ってきた業者にそれを言えるのか?
C氏 免税事業者には申し訳ないが、自分の身に関わる。
B氏 使う立場、使われる立場として行ったり来たりする関係だと尚更難しい。
B氏 毎年売上1000万円以上が確定している人は、早めにインボイス登録を済ませて、今のうちから準備を進めた方がよい。税務署に相談した際、早めに登録するように急かされた。
B氏 減免があるとはいえ、時限的なもの。お互いにどこまで譲歩するか…
B氏 予算があるので断られる可能性もあるが、消費税はいらないから値上げしてくれと事前にお願いする
C氏 交渉するのは簡単だが、意見が通るとは思えない。生活が厳しくなってしまうので、今よりも多く仕事をするしかない。
D氏 インボイス制度が始まる前に消費税10%分はいらないので、手間賃を10%上げてもらうように交渉するのもひとつなのではないか。
A氏 理屈的にはそうなる。今でも生活が厳しい内情を知っていたら、心情的に10%引いた金額は渡しにくいので、今と変わらない金額を渡すと思う。
B氏 「元請に金額交渉をするか」「自己負担するか」「10%引いた金額を渡すか」「残業をして10%分の技術を安売りするか」の4択になる。
C氏 働き方改革に逆行している。建設業にとって悪いことでしかない。
自分たちはモノを売るのではなく手間を売る仕事なので、金額が大きくなればなるほど負担になる。免税事業者が一人だけなら何とかなるかもしれないが、大きな現場でたくさんの免税事業者の手を借りないといけないケースは厳しい。
意見2
肌感覚だが、免税事業者で消費税をもらっていると認識している人はほとんどいない。そういう人から10%引くのは、単純に値下げさせられたと思われるし、対応が難しいのではないか。
意見3
既存の取引業者に免税か課税か確認しなければならないが、そんなにうまく確認できるか。インボイス制度を相互理解していないとうまくいかないのではないか。事前に話し合いをしていくしかない。
免税グループ・課税グループ、お互いの言い分まとめ
免税事業者
・今更消費税を払えと言われても到底受け入れられるものではない
・課税事業者にならなければ、既存業者との関係が悪くなる
・転職が可能な年齢、スキルを持っていれば会社員に戻った方が生活は安定する
・焦って課税事業者に登録したくないので、経過措置期間にどうするか決めたい。
課税事業者
・事前に話し合いし、国に納める消費税10%分を値引き
・手間賃の値上げという形で、課税事業者が10%分被り、金額は据え置き
・減免措置があるので、話し合ってお互いの妥協点を見つける
・値引きしたいのは本音だが、心情的に難しい
・消費税10%分は消費者に負担してもらう
・値引きをした場合、下請に仕事を引き受けてもらえずに自分の仕事が止まる可能性がある
・受注金額が大きくなればなるほど、自分たちの首が締まるので、免税事業者の10%分は負担
できない
免税事業者と課税事業者の意見交換
意見交換の結果まとめから紹介
価格交渉に関すること
・これまで以上に業者間でコミュニケーションを取る
・お互いに歩み寄って妥協点を見つける
・価格に転嫁し、消費者に負担してもらうのもひとつの方法
課税事業者はどうするべきか?
・早めに税務署で事業者登録し、インボイス対応の準備を進める
・個々の条件にもよるが、減税、手間がかからないメリットがあるので、簡易課税制度は活用するべき
・制度を理解していない、免税事業者から価格交渉しにくい状況を考慮し、課税事業者発信でインボイス制度について声掛けする
免税事業者はどうするべきか?
・免税事業者が個人を相手に取引している場合は、課税事業者になる必要はない
・免税事業者は慌てて課税事業者になる必要はない。自身の取引状況を考慮した上で、6年間の減免期間中に決めても遅くはない
その他
・個々人で税金に関する最低限の知識を持つ自助努力も必要
・悩んだ時は税理士に相談する
意見交換の形式
※1 2グループにわかれて意見交換。
※2 多くの人と議論できるようメンバーの入れ替えも実施しているため、多少重複する話もあり
1回業者間で話しをする。お客さんの請求に上乗せするか、課税側の利益を削るか、免税事業者の10%カットを認められなければ、値引いた金額でも仕事をしてくれる業者を見つけるか、経営者によってやり方が異なる。
課税)80%が控除される経過措置期間に10%ずつ負担していくのがよいのではないか。タバコの値上げ同様、理解してもらう意味でも段階的に進めていった方が最終的に移行しやすい。
講師)使う側も使われる側も歩み寄って落としどころを見つけていくのも一つの方法だと思う。免税事業者から課税事業者に変更した場合の減免措置も出てくるので負担が抑えられるので、課税事業者が増えていくはず。話し合いは絶対必要。使われる側からは言いにくいので、使う側から声がけした方が良い。
講師)手間請け専門でやっている人はみなし仕入率が60%になる。よく言われる建設業の闇の部分で、社員だといいながら個人事業主として取引しているようにして経費がかからないよう例がある。社員として雇用しなさいと言われているが、社員にすると経費がそれ以上にかかってしまう。
講師)すぐすぐ事情が変わるとも思えないので、自分の仕事状況を考慮した上で様子を見た方がいい。
ただし、一人親方でやっていた時のように時間の調整はできなくなるし、売上がそこそこあった人は今までの生活が維持できなくなる可能性もある。免税の人も売上を増やせればよいのだが、6年間のg減免期間内でいずれかは課税事業者に変更しなければいけないと解釈をしている。
免税)いずれにしろ手取り収入は減るはずなので、課税の人が多く仕事を受注し、免税の人に振ってもらわないと厳しい。
課税)得をする業界はない。インボイス制度に賛成しているのは、国のお偉いさんたちで、取れるものがあれば取ってしまえという考え。我々中小企業としてはまったくいらない、悪魔的な制度。
課税)若い世代からも金をむしり取り、後継者育成できなくする制度。大工になりたい人は、見習いから低賃金で初めて仕事を覚えるが、自分が若いときにこんな制度があったら生活できないので仕事を辞める。
課税)昔からインボイス制度に反対署名をしていたが、直前になるまで内容をよく理解していなかった。当時、「インボイス」という言葉だけで後はなんのことやらわかっていなかった。
個人的には、消費税10%分は、消費者からもらえばいいだけだと思っているが、年数が経過するごとに免税事業者も負担する流れになるはず。自分も負担したくないので難しい問題。
講師)親世代は法人化しない限り、課税事業者になろうという感覚もなかったはず。引退間近の人は、今のまま行くと思うが、これからの世代のいずれは番号を取ることになると思う。それを6年間考えてもらう。令和5年10月以降も登録できるが、期限を決められるとどうしても焦ってしまう人が出てくる。
講師)仕事をもらえない人で安売り合戦してしまう恐れはある。震災時も県外から業者が来て、安い見積りを出された過去がある。
ただし、安さだけで仕事を他の人に振ると、質の低い仕事をされる可能性もあるので、今までの仕事の関係はなるべく崩さない方がいいと思う。これまで以上に元請との話し合い、構築してきた関係性がより一層重要になる気がする。
課税)インボイス制度の第一印象としては、免税事業者に消費税を払わない方針で進めようと思ったが、免税側の話も聞いて勉強させてもらい、従来から取引のある業者に掌を返すことはしたくないと思った。これからも継続して関係性を築いていくしかない。
講師)交渉する権利もあるし、話も十分できるし、振るべきだと思うが、下請ではなく元請側から話を切り出すべき
免税)会社の規模に関わらず、国からインボイス制度についての通達は来るのか?立場の弱い下請だけインボイス制度を理解していても、元請でインボイス制度を理解していないと交渉のしようがない。
課税)課税側がインボイス制度を理解していて、交渉できる下地が整っているのが理想ではある。
課税)免税側がインボイス制度の概要がわかって、課税側が言ってくるであろう言い分を予測した上で話し合いをしていくのが大事。
免税)独占禁止法に該当した場合の証明はどうするのか?
講師)話し合いをするときに録音するのがいい。話は逸れるが、番頭ではなく、普段接触する機会の多い担当者や事務方に相談するのもいいのではないか?他の取引先からの様々な意見が出るはずなので元請内で意見を揉む機会が生まれるはず。契約行為は両方の合意がないとしてはいけないことになっているので、勝手に金額を決められるのはおかしい話。
講師)まだ制度は始まっていないが、切羽詰まってからではなく、今のうちからコミュニケーションを取ることは必要だと思う。切り口は「インボイスが始まるけど聞いたことありますか?」「インボイスを知ってますか?」など、まずは話を振ってみる。知らないと言われた場合は、間違いなく始まることなので、関心を持ってもらうために一緒に勉強するように促すのも元請の役割になる。
課税事業者は当然関心を持たなければいけないことだが、免税事業者は自分が当てはまっているのかもわからないケースが多く、ピンとこないケースがあるはず。ざっくりわかっているケースでもより不安を抱いているのは免税事業者。
元請側から話を振った方がコミュニケーションは取りやすい。仕事をもらっている側からはなかなか言い出しにくい。制度が始まる直前に言われても、決めるに決められない。
課税)自分ひとりで仕事を進められるわけではないので、最悪、元請側で消費税分を負担しないといけない。そうしないと仕事が止まってしまう。そこをお客さんに説明して負担してもらう。
免税)誰も余計に税金を納めたくないので、インボイスに登録するのが正解なのか、不正解なのか、正直わからない。
講師)増税は始まるときからいろんな問題があって受け入れられないのは当たり前だと思う。そのために緩和措置があって少しずつ浸透させていこうということなんだと思う。
課税)インボイスに登録しないから、今まで取引のあった免税事業者を使わないということにはならないと思う。それをやってしまうと現場に来てくれる人がいなくなる。
講師)それぞれ条件が異なるし、イレギュラーなケースも出てくる。
必ずこうだという答えはないが、税理士に聞くのが一番間違いないと思う。
講師)取引先、年間の業務量、今後の見通しなどを伝えたうえで、最後は専門家の税理士に相談した方がいい。税理士も支払った金額分の仕事はしてくれる。
インボイス制度は消費税を払う、払わないだけの問題ではなく、申告のやり方もだいぶ変わる。
課税)請求書と領収書にも番号をいれなければならない。大手のホームセンターやコンビニなどではすでにシステムを導入しているところもある。
課税)最初に少しでも消費税を払っていて、制度が緩くなって消費税を払わなくてよくなったのであれば、痛みがわかるので導入もしやすいはずだが、いきなり払えとなると難しい。自分がこれからどうしていきたいかで対応が変わってくると思う。
免税)ギリギリ1,000万円の到達するかしないかで、年度によって波がある。その場合は登録しない方がいいのか?
課税)最終的にその人の判断になるが、プロである税理士に相談した方が確実。
課税)課税と免税、お互いがインボイス制度について理解していないと話が前進しない。
講師)課税と免税、お互いにインボイスについて理解しているとはいい難い状況。ただし、国は待ったなしで徴収していく。悪気がなくわからないという状況になるはずなので、参加者の皆さんには取引のある業者さんにインボイス制度について声掛けしていって欲しい。そうすることで、自分たちが深手を負うリスクは軽減できるはず。
講師)元請から下請宛にインボイス制度に登録するよう一方的な通知が来ると思うが、元請で詳しく説明できる人も少数だと思う。インボイス事業者登録はあくまで任意、強制力はない。慌てて登録する必要はないので、登録を保留するように伝えて欲しい。
また、絶対登録しろと言ってくる元請、よくわからないで出す元請には注意してほしい。
講師)減免はあくまで制度を浸透させるために行う時限措置。お茶を濁し、伸ばし伸ばしにしてでもやってくると思う。マイナンバーと同じで浸透するまでは時間を要する。
学習会で使用した資料
課税・免税、立場ごとの問題点・改善点がわかる資料(8ページ)
簡単にまとめた資料(4ページ)
関心がない人向け 取っ掛かりの資料(1ページ)