【わかりやすく解説】足場からの墜落防止措置が強化されます<R5.10から法改正>

建設業では、高所からの墜落や転落災害による死亡事故の発生率が高く、その対策が急務とされていました。

それに伴い、足場に関する墜落防止措置を定める労働安全衛生規則が改正されます。

一側足場の使用ルールの社内周知や、足場点検者の指名、足場の点検票の見直しなどが対応として必要になります。

改正内容

令和6年(2024年)4月1日施行

① 一側足場の使用範囲を明確化

幅1メートル以上の場所で足場を使用するときは…
・本足場を使用することを義務付けられた
・一側足場の使用範囲が明確化された

実情や課題などについて、エムズエイト様(青森県の足場屋さん)のyoutubeチャンネルでわかりやすく解説されています

1.本足場と一側足場の違い
本足場(二側足場)一側足場
かんたんに説明すると頑丈な足場下のイラストでは手すりが設置されているが、法令上、手すりの設置義務がないことから、墜落事故に繋がりやすいと考えられている
2.なぜ幅1メートル以上の場所で本足場を使うことが義務付けられたのか?
足場からの災害が多いため
令和元年~3年に発生した足場からの墜落・転落による死亡災害56件のうち、8件が一側足場からの墜落によるものだった。
原因
・一側足場は、狭い現場で使用されることが多く、手すりなどの設置が困難
・建物側に手すりなどがない場合がある
・安衛法で定められた墜落防止措置の適用外
→ 構造上、墜落・転落の危険性が残っていることも…
3.建設業の災害状況
近年の業種別事故報告による死亡事故発生は、圧倒的に建設業が多く全産業の約40%を占めている。

参考)建設業における墜落・転落災害発生状況

参考)建設業の死亡事故発生件数

参考)「足場」からの墜落・転落による死亡事案の行動内訳

4.「幅が1メートル以上の箇所」とは?
備考
・建地を一本とする場合には、動揺や倒壊を防止するために十分な強度がある構造にする
・建築物と足場の作業床との間隔が30cm以内にするのが望ましい
・1メートル未満の場合であっても、可能な限り本足場を使用することが望ましい
5.一側足場を使用できるケース(一側足場の使用範囲を明確化)

つり足場を使用するときや、障害物があるなどして、本足場を使用することが難しい場合は、一側足場を使用できる

参考)どんなときに本足場を使用することが困難?
6.問題点

・経費が掛かる
足場の材料が増える → それに伴いトラックの台数も増える → 職人の手間が増える

・これまで以上に設置する時間がかかるため、1日に回れる現場が減る

・近年材料費が高騰している
→ いままで通りの単価では採算が合わないので、単価が上げるのは必須

令和5年(2023年)10月1日施行

② 足場の点検者を指名することを義務付け

1.かんたんに説明すると…

足場を使う人(大工、塗装屋、屋根など)はその日によって異なるので、足場を使う業者を指名し、点検してもらうための改正

(事業者=足場仮設の施工業者)または、(注文者=足場を使用する工事業者)が足場の点検を行う際は、あらかじめ点検者を指名しなければならない
エムズエイト様(青森県の足場屋さん)のyoutubeチャンネルで、より具体的にわかりやすく解説されています
2.指名方法(下記①~④など)

3.なぜ点検者の指名が義務付けられたのか?

現状の点検表で良好以外の表記を見かけるのは稀だが、実際には指摘する項目が見つかることも多い。責任の所在を明らかにすることで、足場の不備をしっかり確認させ、安全に作業を行えるようにするため。

4.足場の点検するタイミング
1.足場の組立後、変更後、一部解体後
2.作業前(使用前)
3.悪天候、地震の後

このうち1と3は、注文者(元請けなど)が行う。
2は足場を使用する事業者(協力会社も含む)が行う。

5.注意点

1.毎作業前にチェックリストに記入しなければならない
2.足場屋は現場に引き渡している側で、毎回点検できるわけではないため、点検者に該当しない

参考)足場の種類別点検チェックリスト

③ 点検記録項目に点検者の氏名を追加

足場の組立て、一部解体、変更などの後の点検後に、指名した点検者の氏名を記録・保存することが必要になる。

参考資料

 足場からの墜落防止措置が強化されます(厚労省資料)

 足場からの墜落防止措置が強化されます(近畿地方整備局)